色とりどりの美しい花とその甘い香りで親しまれているストックの栽培。この春に咲く花は、秋には苗が店頭に登場し、早いものならその年のうちに開花を迎えます。
ストックには一重咲きと八重咲きの二種類があり、特に華やかな八重咲きが人気を集めています。育て方としては、苗を購入する方法と種から育てる方法がありますが、八重咲きの場合は一重との選別が必要になります。
この記事では、ストックを栽培する際の手順、管理のポイント、種をまく最適な時期、そして一重と八重の選別方法を紹介します。
年末に開花したストックは、年が明けてからの切り戻しを行うことで、春に再び美しい花を咲かせることが可能です。
それでは、ストックの魅力的な育て方を学んでいきましょう!
ストックの魅力と特徴
ストックは、その長い花穂が魅力で、花は下から順に開花します。夏に種をまけば、同年中に花を楽しむことができます。
花色はピンク、赤、紫、黄色といった多彩なバリエーションがあり、単一枝で咲くタイプと、枝分かれしてスプレー状に咲くタイプが存在します。寄せ植えや切り花としても人気があります。
この冬から春にかけて楽しめる花は、霜には弱いため、鉢植えの場合は冬場は室内に移動させるなどの対策が求められます。また、直根性のため、種や苗の植え付け時は根を傷めないように注意が必要です。
一重咲きと八重咲きの見分け方
左側に一重咲き、右側に八重咲きを示します。一重咲きと八重咲きの中では、豪華な八重咲きが人気です。苗を選ぶ際は、開花している花を確認して選びます。
種から育てる場合、購入した種には一重咲きと八重咲きが混在していることがあります。
選別方法としては、芽が出た後の若葉を観察するか、花が開いてから判断します。
一重咲きは成長が緩やかで葉が丸った形状をしていますが、八重咲きは成長が早く、葉には切れ込みが見られます。不要な苗は取り除くか、株元をカットして整理します。
なお、自家採取を行う場合、八重咲きの種は採取できず、一重咲きの種のみが収穫可能です。
ストック植物の基本情報
- ストックの詳細
- 栽培のしやすさ(5段階評価): ★★☆☆☆
- 種まきの易しさ(5段階評価): ★★☆☆☆
- 種をまく推奨時期: 8月から10月
- 花期: 11月から翌年4月まで
- 草丈: 20cmから80cm
- 花の色合い: ピンク、白、黄、赤、紫など
- 特徴: 一重咲きと八重咲きの種類がある
- 根の種類: 直根性 寒さ対策: 霜から守る必要あり
育て方のガイド
種から始める方法 ストックは種から育てることが可能で、一重咲きか八重咲きかによって蒔く方法が変わります。
・ビニールポットでの種まき: 一つのポットに3粒ずつ蒔き、その後間引いて植え付けます
・直根性のため、植え替えの際のリスクも低くなります
・一重咲きと八重咲きの選別には向いていません
・育苗箱での種まき: まき散らししてから間引き、ポットに移して苗を育て、その後植え付けます
・発芽した苗を比較しやすく、一重と八重を選別後にポットに移植できます
・植え替えの回数が増えることがあります
最適な栽培時期
8月から9月に種まきをすると、同年内に花を見ることができます。
・発芽に適した温度は約20℃です。8月から9月中旬の暑い期間は、涼しい室内での管理が好ましいです。暑すぎると発芽が妨げられることがあります。
・屋外で自然に育てる場合は、9月下旬以降の気温が下がってからが適していますが、その年の開花は難しいかもしれません。
栽培に必要な物
・種 ・種まき用の容器: 育苗箱や3号ポットなど
・用土: 元肥が含まれた花用の培養土が望ましいです。比較的高温の時期に種まきを行うため、新しい、清潔な用土が適しています。
種まきの手順
- 種まき用の容器には、用土を適量入れます(育苗箱を使用する場合、土は約3cmの厚さが理想的)。
- 種をまきます。 ビニールポットの場合は、2~4粒を各ポットに。 育苗箱を使用する場合は、種を均等に散布します。
- その上に土を薄くかけます。
- 水やりは、種が動かないように注意しながら慎重に行います。 種をまいてから3~4日で発芽が見られます。
種まき後の管理
土の乾燥を防ぎます。 発芽するまでは日陰か室内に置き、発芽後は日当たりの良い場所へ移動します(徒長防止のため)。
本葉が出始めたら、週に1回程度の液体肥料を与えます。
アブラナ科の植物は、アオムシの被害を受けやすいため、虫対策が必要です。
一重と八重の苗の選別
発芽後約1週間以内の苗で、一重と八重を選別し、不要な苗は抜くか、株元をハサミでカットします。
間引き
一重と八重の苗を選別する際にも間引きが可能ですが、選別しない場合は別途間引きが必要です。
ピンセットで抜くか、株元をハサミで切ります。 密集した発芽は成長競争を促し、良い苗を育てます。バランスの良い、適度に成長した苗を残します。
1回目の間引きは苗が2葉になった時、2回目は本葉が出始めた時に行います。定植時には苗同士が触れ合わないよう間隔を空けて間引きます。
ポットへの植え替え
本葉が3~4枚になったら、育苗箱からビニールポットへ植え替えします。直接ビニールポットに種をまいた場合は植え替え不要です。
根を傷つけないよう注意してください。
準備するもの
・ビニールポット(3号サイズがおすすめ)
・用土(市販の花用元肥入り培養土が便利)
・その他に手袋、土入れ用具、じょうろなど 用土をポットに入れ、スプーンなどで苗を慎重に取り出し、植え付けます。苗は深めに植えると徒長が抑えられます。直根性のため、根への注意が必要です。水やりも適宜行います。
注意事項
・水やりは土が乾いたら行います。乾燥気味に保つと徒長を抑えることができます。
・日当たりの良い場所に置きます。十分な日光を確保しないと、植物が徒長してしまう可能性があります。
・虫対策も重要です。種蒔き後と同様に、蝶やアオムシから植物を守るための虫対策を実施してください。
定植のタイミング
購入した苗や自家栽培した苗が蕾を付けたり、花色が分かるようになったら、鉢植えや地植えでの定植を行います。
霜が当たると植物が弱ることがあるため、鉢植えで屋内に移動させることを推奨します。屋外の花壇などで植える場合は、霜から守れる場所を選び、頻繁な植え替えを避けましょう。
植える際は株間を15cm程度とし、分枝する品種は20cm以上の間隔を空けてください。
植え付ける土は、緩効性肥料を混ぜたものを用い、根を傷めないよう注意します。
ストックの管理方法
- 置き場所: 日当たりの良い場所で育てます。霜対策を行い、霜が当たる場合は鉢植えは軒下に置くなどし、屋外での育成を基本とします。
- 水やり: 土が乾いたら水を与えます。地植えの場合、あまり水やりは必要ありません。
- 肥料: 定植時に緩効性肥料を混ぜ込んだ場合、追肥は通常不要ですが、葉が黄色くなったり元気がない場合は、2週間ごとに液体肥料を与えるか追肥を行います。
- 摘心: 分枝するスプレー咲きの品種では、中心茎の蕾を摘むことで、側枝の発育が促進され、花付きが良くなります。
- 花がら摘み: 花穂は下から上へ咲き進むため、咲き終わった花は茎から取り除きます。これにより、植物の体力を無駄に使わずに済みます。
- 切り戻し: 年末から咲き始めて年明けに新しい蕾がない場合、早めに切り戻しを行うと再び花が付きます。切り戻しは1月中に行い、遅れるとが花が咲く時期が遅くなることがあります。
- 支柱: 高く成長すると倒れることがあるため、支柱を使って支えることが重要です。
まとめ
春の花壇や寄せ植えに人気のストックは、甘い香りが特徴で、色のバリエーションが豊富です。草丈は30cmの矮性種から80cmの大型種まであります。
一重咲きと八重咲きがあり、八重咲きが特に人気です。花苗の購入時には開花しているものを選べますが、種から育てる場合は一重と八重の選別が必要です。
本文では、種まきから育て方、そして一重と八重の選別方法について説明しました。また、ストックは花持ちが良く、切り花としても長く楽しむことができます。
ストックの栽培は初心者にも手軽で、その美しい花と香りを庭や室内で楽しむことができます。このガイドを参考に、ストックの栽培にチャレンジしてみませんか。